2012年8月23日木曜日

声なき弱者を犠牲とすることを国是にしてよいのか 生活保護を「生け贄」とする平成25年度予算概算要求基準を撤回せよ! 

私も先ほど賛同を送りました。見直しなら、世帯単位を個人単位にしたり、ケースワーカーを増やしたほうがいいです、とメッセージに書きました。

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(下記転送歓迎)


先日、生活保護基準見直しを含むする平成25年度予算概算要求基準が閣議決定
されました。これに対し、当会は本日、撤回を求める声明を発表しました。
つきましては、多くの個人・団体に当声明にご賛同いただき、声なき弱者を切り
捨てる政府の姿勢を改めさせるべく共に声を挙げていただくことを、ここに呼び
かけます。
賛同の声は9月5日(予定)に記者会見を開催して報告する予定です。
ご協力の程、よろしくお願いいたします。

※お送りいただいた連絡先は、この件についての呼びかけの際に使用させていた
だく場合があります。厳重に管理し、その他の目的で使用することは一切ありま
せん。

【賛同方法】
 ネットからの賛同はこちらから
 http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-76.html

 メールでの賛同は、以下の点をseihokaigi@hotmail.co.jpまで。
  ①個人賛同か団体賛同か
  ②お名前又は団体名
  ③肩書き(個人の場合)
  ④お名前・肩書き公表の可否
  ⑤(可能なら)賛同メッセージ
  ⑥賛同メッセージ公表の可否

【締切】9月4日(火)正午

多くの方に賛同いただきたいと思っておりますので、本メールの転送や
ツイッター等での情報拡散にご協力を御願いいたします。

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(声明文)
2012(平成24)年8月22日

声なき弱者を犠牲とすることを国是にしてよいのか
 生活保護を「生け贄」とする平成25年度予算概算要求基準を撤回せよ!

生活保護問題対策全国会議  代表幹事 弁護士 尾藤廣喜


1 生活保護を予算削減の「生け贄」とする概算要求基準

 政府は,本年8月17日,2013年度予算の概算要求基準(以下「本概算要求基
準」という。)を閣議決定した。
本概算要求基準は,昨年8月に改訂された「『中期財政フレーム(平成24年度~
平成26年度)』に定められた『歳出の大枠』71兆円を遵守する」ことを目的とし
て謳っている。そのために「義務的経費も含めた歳出全般について聖域視せ
ず,」「徹底した歳出の効率化を図る」とし,中でも「特に財政に大きな負担と
なっている社会保障分野についても,これを聖域視することなく,生活保護の見
直しをはじめとして,最大限の効率化を図る。」としている。さらに,別紙
(1(1)①)では,年金・医療等に係る経費の高齢化等に伴う自然増(計8,400億
円)については容認する姿勢を示しつつ,重ねて「生活保護の見直しをはじめと
して合理化・効率化に最大限取り組み,その結果を平成25年度予算に反映させる
など極力圧縮に努める」ものと強調している。
要するに,①「歳出の大枠71兆円」を遵守するために,これまで聖域とされてき
た社会保障分野の支出を削る,②そうは言っても,高齢化に伴う自然増(8,400億
円)は止めようがないので,その分も含めて生活保護を見直すことで削る,とい
うのである。
しかし,私たちは,このような政府の方針は到底容認できない。


2 生活保護費が増えるのは当然であり,むしろ深化・拡大する「貧困」に対応
できていないことが問題である

 確かに,近時,生活保護利用者数と生活保護費は年々増加している。しかし,
それは,不安定・低賃金の非正規労働者が全労働者の3分の1を超え,失業率も
高止まりしたままである等雇用が不安定化していること,高齢化が急速に進んで
いるのに年金制度が脆弱で生活保障機能が弱いことなどに起因している。原因
は,生活保護制度にあるのではなく,その手前のセーフティネットが脆弱である
ことにある。「貧困」の拡大によるすべての負荷が生活保護制度にかかっている
ことが問題なのである。
 しかも,増えたとは言え,わが国の生活保護の利用率(全人口のうち生活保護
利用者数が占める割合)は僅か1.6%であって,先進諸国(ドイツ9.7%,イギリ
ス9.3%,フランス5.7%等)の中では異常に低い。これは,生活保護の捕捉率
(利用資格のある者のうち実際に利用している者が占める割合)が2~3割り程度
と,これも異常に低いことに起因している。現在の日本では,700万から1000万
人もの人々が,本当は生活保護を利用すべきなのに利用できていないのである。
 今年に入ってから,札幌市,さいたま市,立川市,南相馬市などで、これまで
ハイリスクとは捉えられていなかった複数世帯での餓死・孤立死事件が相次ぎ,
貧困のさらなる深化・拡大とセーフティネットの破綻がますます明らかとなって
いる。
 すなわち,今の日本は,生活保護利用者が増えて当然の社会構造にあり,むし
ろ,貧困の深化・拡大に生活保護利用者の増加が追いついていないことこそが問
題なのである。この事実を冷静に直視する必要がある。


3 財政目的での生活保護の抑制は餓死・孤立死・自死等を必ず招く

 1で述べたとおり,本概算要求基準では,社会保障や生活保護を「聖域視しな
い」という言葉が繰り返されており,自民党政権末期の小泉政権下で掲げられた
「聖域なき構造改革」路線が亡霊のごとく復活している。
 小泉政権は,「骨太の方針(経済財政運営と構造改革に関する基本方針)」に
よって,社会保障費の削減策を相次いで打ち出した。その結果,「厚生労働省の
直轄地」「生活保護行政の優等生」と言われた北九州市において,2005年から
2007年にかけて3年連続で生活保護をめぐる餓死・自死事件が相次いで起こっ
た。同市では,生活保護予算を年間300億円以下に抑える等の「ヤミの北九州方
式」と呼ばれる徹底した歳出抑制策を講じたがため,こうした悲劇が頻発した。
こうした社会保障費の抑制策に対する国民の厳しい批判が沸々と沸き起こって,
歴史的な政権交代につながったことは記憶に新しいところである。
そもそも,生活保護制度は,憲法25条が保障する生存権を具体化した「最後の
セーフティネット」と言われる制度である。「最後」ということは,そこで受け
止められなければ後には何もないということである。まさに,人の命,生き死に
に直結する制度である。だからこそ,本来,財政的見地から給付を制限するよう
なことがあってはならず,健康で文化的な最低限度の生活は,必ず保障しなけれ
ばならないのである。
にもかかわらず,こうした生活保護制度をターゲットとして,財政的見地から抑
制,削減を図ればどうなるか。その結果は自ずと見えている。困窮者は否応なく
餓死,孤立死,自死,貧困ゆえの犯罪に追い込まれ,全国各地であまたの悲劇が
生まれるであろう。


4 今ほど生活保護の役割が大きくなっているときはない。なのになぜ生活保護
を狙い打ちするのか。

 上記のとおり,今ほど生活保護の役割が大きくなり必要とされているときはな
い。にもかかわらず,なぜ生活保護が狙われるのか。それは,第1に,生活保護
の削減は,基礎年金の削減を招き,さらに,就学援助金等各種低所得者施策の限
度額の引き下げにつながるからである。これによって,国・企業の「貧困層」に
対する財政支出(負担)を節約することができる。また,第2には,生活保護を
利用している人々は,高齢・障がい・疾病等さまざまなハンディを抱え,孤立さ
せられ,声をあげにくい状況に追いやられているからである。また,他の社会保
障分野に比べて,私たちを含めて当事者や支援者の運動が,残念ながら,まだま
だ全市民的な広がりをみせるまでに浸透しきれていない状況にあるからである。
要は,弱くて叩きやすいからターゲットにされているのである。
 しかも,今回人気お笑いタレントの母親の生活保護利用を自民党議員らがやり
玉にあげたことによる異常なバッシング報道の余波で,今や,生活保護に対する
悪しきイメージが定着している。政府・財務省は,この時期を狙って,生活保護
を叩けば,強い反発もなく,自民党政権時代からの懸案であった生活保護基準の
引き下げ等も実現でき,社会保障費全般の抑制へと大きく舵を切ることができる
と見ていると思われる。
 つまり,政府は,最も弱い立場にある生活保護制度をいわば「生け贄(スケー
プゴート)」として叩いてみせることによって,歳出削減をアピールし,他の制
度への波及効果も狙っているのである
これは,憲法で保障された「生存権」を無視し,今こそ生活保護制度が果たすべ
き重要な役割を全否定する,国家権力による弱い者イジメ以外の何ものでもない。
しかも,民主党は,「国民の生活が第一」をスローガンに政権交代を果たし,社
会保障の充実を謳って社会保障・税一体改革を推進し,消費増税法案を可決成立
させるや否や,今度は「聖域なき歳出の効率化」を謳い,国民・市民の「生存」
に直結し,それを底支えしている生活保護をあえて標的として削減しようという
のである。言行不一致もはなはだしいものというべきである。


5 私たちは黙ってはいない!

 私たちは,こうした憲法無視や背信を許すことはできない。
 私たちは,心ある政治家に対して,歴史的な政権交代が起きた背景から目を背
けず,憲法25条に基づく,所得再分配機能の強化,雇用と社会保障の充実に向け
た政策提言と実行を期待する。
 また,厚生労働省に対し,年末の予算編成に向けて,国民・市民の生存権を守
る立場に立ち,生活保護も含めて必要な社会保障予算については堂々と増額要求
することを期待する。
 さらに,マスコミに対して,目下の日本の貧困者が置かれている状況を直視
し,なぜそうした状況が生まれているのかを現場から取材し,事実に基づく冷静
で科学的な報道をすることを期待する。
 そして,今の政治の動きに不信と憤りを抱くすべての人々に対して,ともに立
ち上がり,声をあげ,行動することを呼びかける。私たちは,これ以上黙ってい
ない。

以 上


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(転載ここまで)



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